第4章 嫉妬/織田信長(信長side)
遅い!
遅過ぎる!!
イライラとしながら愛香が来るのを待っている。
最近、色々と忙しくて愛香を構っている暇がなかった。
先程まで謁見していた南蛮人が持ってきた貢ぎ物の中で珍しい着物があった。
愛香に見せたら喜ぶであろうと呼び付けたのだが……
待つという事が、これほどじれったいとはな
今までの俺には無い感情だ。
「愛香です」
「入れ」
久しぶりに見る愛香は、分かり易いくらいに喜んでいるのが分かった。
ふっ……
可愛いヤツだ
「近くに来い」
「はいっ!!」
「これの着方を知っているか?」
「これは……」
愛香の膝にドレスとやらを置いてやると、たちまち瞳を輝かせて手に取り
夢中になって眺めている。
その姿を見ただけで満足出来るはずだったのだが……
どうにも面白くない。
この俺がいるのにも関わらず、ドレスとやらに夢中なのが気にくわない。
「丁寧な縫製……あ、ここはこうやって……」
「愛香」
ドレスよりも俺に意識を向けさせたくて、わざと愛香の耳元で名前を呼ぶと
「っ……」
「俺がいるというのにドレスとやらに夢中になるとはな」
貴様が夢中になっていいのは俺だけだ。
きっちりとその身体に教えこんでやろうではないか。