• テキストサイズ

イケメン戦国◇甘い囁き◇R18

第31章 君は俺の薬/武田信玄(信玄side)



安土城を見上げながら、愛香の事を想うと胸が痛くなる。


こんなに近くにいるのに逢えない。

本当は愛香と一緒に暮らしたくて、敵情視察と称して安土に来たのだが……


「困ったもんだ」


此処まで来て、男としての妙な自尊心が愛香に逢うことを邪魔する。

一国一城の主であったが、色々な事があって今の俺には還る場所がない。

春日山城で居候の身分だ。
そんな俺と一緒になっては愛香は、幸せになれるのか?


答えは否
なれるわけがない。


好いた女を不幸にするなんて事は出来ない。
一時の感情で動けるほど、俺はガキではない

無理やり自分自身に言い聞かせるのだが、諦めきれずに女々しくも安土城を見上げていた。




「この俺がこんなにも切ない想いをするとは……」



思わず苦笑いしてしまう。




「会わないんですか?」

「やめておくよ」


好きだからこそ、彼女を不幸にはしたくない。


「彼女は安土で幸せに暮らしているのであろう?」

「……はい」

「ならば良い」



彼女が幸せならば問題はない


「佐助……」

「はい?」

「明日の朝、出立するぞ」



「……わかりました」

/ 379ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp