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イケメン戦国◇甘い囁き◇R18

第30章 君は俺の薬/武田信玄(夢主side)


「ちょっと渋すぎちゃったかな?」


仕立て終わった着物を広げて見つめてみる。
でも、大人っぽいあの方ならきっと似合うと思うんだけど……

あの方を想いながら一針ずつ丁寧に仕上げた着物。
今は遠く離れているけど私の心は、いつもあの方の傍にいる。


本当なら直接、逢って渡したいんだけど……
それは無理だと思うから、佐助くんが来た時にでもお願いしよう。



「愛香さん……ちょっと良いかな?」


天井板が外れて佐助くんが顔を出してきた。


「うん。ちょうど良かった! 佐助くんに会いたいと思ってたんだ」


音も立てずに飛び降りてきた佐助くんは、顔を覆っていた布を下げた。

ん?
なんだか様子がおかしい気がする。


凄く困ったような顔


「何かあったの?」

「……実は……」


何度か喋ろうとして口を開くんだけど、すぐに噤んでしまう。


「ねぇ……どうしたの?」

「実は……信玄様が……」

「信玄様?」


信玄様の身に何かあったのかしら?
不安が心を支配していく




「動けなくて寝ているんだ」

「……嘘……でしょう?」


「それで出来れば……見舞いに来てもらいたいんだけど」

「勿論だよ! たとえ信長様に反対されても春日山城に行くから!!」

「あ、それは大丈夫だから」

「え?」

「信玄様は安土城下にいるから」


どういう事なの?


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