第28章 本気で惚れてるからこそ/豊臣秀吉(夢主side)
「まったく……どこをどう勘違いして愛香に魅力が無いとか、俺が『いんぽ』だとかっていう話しになるんだよ……って?__『いんぽ』?!」
「……違うの?」
「誰がそんな嘘を愛香に教えたんだよっ!!」
「……政宗っ」
「あんの野郎!! ぶった斬ってやる!!」
……秀吉がそんなに声を荒げるなんて初めて聞いたよ
と、いうことは?
え?
どういうこと事なの?
「愛香……悪かったな」
俯いている私の顔をのぞき込んでくる秀吉の顔は、すまなそうな顔をしてる。
「お前を不安にさせちまって__
俺が男としてしっかりとしなかったからな」
頬を両手で包み込むとそのまま上に上げさせられて、視線が合わせられない私は、どこを見ていいのか右や左にへと視線を泳がしてしまう。
「愛香……俺の瞳を見ろ」
真剣な秀吉の言葉に恥ずかしさを忘れて、見つめてしまう。
「ちゃんと聞いておけよ」
「……うん」
「俺はお前に惚れている__
愛香も分かっていると思うが、俺は武士だ」
「うん」
「戦となれば自分の命を賭けて戦う。
信長様の御為、領民を守るために」
分かっているよ
秀吉が生半可な気持ちで戦に立ち向かっていない事ぐらい。
そんなあなただから私は、好きになったんだもの。
「俺はいつ戦場で散るかわからない」
「そんなっ……」
「だったら……せめてお前は清い身体でいた方が幸せになれるんじゃないかと考えていた」
そんな事を考えてくれてたんだ。
自分の死んだ後の事まで考えてくれるなんて、秀吉らしい。
でも……
「秀吉は戦場なんかじゃ死なないよ」
頬に添えられた手に自分の手を重ねる
「絶対に私のところに帰ってきてくれるって信じているから」