第28章 本気で惚れてるからこそ/豊臣秀吉(夢主side)
「はぁ~……」
冷たい風が吹きつける中、まだ咲かない桜の木を眺めてはため息ばかりついてしまう。
「どうした?愛香。ため息なんかついたら幸せが逃げるぞ?」
背中から声が聞こえて振り返るとニヤリと笑う政宗の姿。
「私の幸せなんて秀吉を好きになった時点で無くなったわ」
「ん? 何かあったのか?」
「べ、別にっ……」
「1人で悩んでいたって妙案なんて浮かばないぞ」
「……そうだけどさ」
「話てみな。ちゃんと聞いてやるから」
ぽんっと頭を撫でられて、政宗の顔を見れば
ものすごく真剣な顔。
本気で心配してくれているのが分かる。
でも、私の抱えている問題はかなりデリケートな事だし……言葉にして言うのも恥ずかしい。
「お前が悩むっていったら秀吉の事だろ?」
「うん……」
政宗になんて説明していいのか分からなくて、頭の中で色々と組み立ててるんだけど……
うっ
恥ずかしいよ
頬が熱くなってくる
「ほう……なるほどな」
なんだかいやらしい笑みを浮かべてるんだけど?
「そうか……お前も大変だな」
「?」
まるで慰めるように肩に手を置く政宗
もしかしたら……
分かっちゃったの?!
「毎晩寝かせてくれないほど愛されているのか」
「ぐっすりと安眠してます!!」
……あ
「はあ?!」
……ヤバい
つい言っちゃた
「お前ら……まさか?!」
駄目だ
恥ずかしくて政宗の顔が見れない。
「枯れた老夫婦のように寝てるのか?!」
「ちょっ!!声が大きいよ!!」
慌てて政宗の口に手のひらを当てる。
びっくりして目を見開いてる政宗と恥ずかしくて泣きそうな私。