第16章 叶わぬ想い/豊臣秀吉
「……愛香……」
掠れた声で愛する女の名を呼ぶ
それだけで心が締め付けられる。
この腕の中で思いっきり愛香を抱きしめたい。
愛香のすべてが欲しくて堪らない。
頬に寄せた布を唇でそっと触れる。
瞳を閉じれば産まれたままの姿で微笑む愛香
「秀吉……好きよ。
お願い、私を抱いて……」
幻とわかっていながらも、心臓が跳ね上がり
男の本能が目覚めていく。
「……愛香っ……」
自分の意思とは無関係に愛香を想うだけで、男根が熱を持ち疼いてしまう
反り返っている棹を掴み上下に揺らし始めると先端から醜い欲が溢れだす。
「ふっ……ンッ……愛香っ……」
頭の中では頬を薄紅色に染め、惚けたような瞳で秀吉をみつめる愛香が「もっと……愛して」と囁く
「愛香っ……ハァ……愛香……」
持っていた布を男根に巻き付けると愛香の香りが鼻をくすぐる。
まるで、愛香を抱いているような錯覚に陥ってしまう。
愛香の中にいるような心地良さを感じながら、秀吉の手の動きは加速していく。
なんの躊躇いもなく、絶頂感へと__
「くっ……フッ!!」
腰を一気に突き上げ、欲を布に吐き出す。
そのまま後ろに倒れ込む秀吉の瞳から一筋の涙
「バカだろ……俺は……」
一気に罪悪感が襲ってくる。
信長の愛する女を想いながら自慰に更ける自分に嫌気がさす。
(信長様から愛香を奪いたいわけじゃない。愛香が幸せならそれでいい)
見守るだけの愛もある
それが秀吉の愛香への愛しかた
よこしまな想いは吐き出した欲と一緒に捨てよう__
「愛香……幸せになれよ」
*秀吉*Fin