第8章 誰の顔も浮かんでこないわ
「まあ、精々頑張れよ。あと赤司、部活には絶対こいつを引きずってでも連れてこい」
そう言い残した修ちゃんは手を振りながら、自分の教室へと戻っていった。
そして私は、とりあえず今日の帰りに材料を買いに行って、明日は徹夜覚悟で作らないとな…なんて考えていた。
「そうだわ。ちなみに征十郎は何か食べたいのある?」
どうせならリクエストに応えたものを作りたい。
あまり手のかかるものは切り捨てるけど。
「華澄の手作りなら何でも嬉しいよ」
いつもの笑顔を私に見せながら、彼は答えた。
それを見ていたクラスの女子数名は何故か倒れた。