第7章 そういうことだったのね
そして、試合はたったのワンゴール差リードで折り返しを迎えた。
「大丈夫?」
ドリンクとタオル、それに差し入れのレモンのはちみつ漬けを五人に配りながら声を掛けていく。
皆「大丈夫」と答えはするものの、やはり体力的には厳しいようだ。
「オラ、シャキッとしろ。万一負けたらわかってんだろーな、お前ら」
降格。
帝光中バスケ部では、もし試合に負けてしまえば、出ていたメンバーは全員降格してしまう。
「後半は灰崎に代わって黒子を入れる。特にその他に指示はない。プレイは各自の判断に任せる」
コーチがそう言うと、テツ君は頷き、立ち上がる。
「あ、テツ君」
「華澄」
先程わかったことを伝えようとすると、征十郎が、俺が伝える、というような視線を送った。
…それだったらいいのだけど。
「?」
征十郎と何か会話をしてコートへ向かったテツ君の後姿は、これまでより一層影が薄く感じた。