第7章 そういうことだったのね
間もなく午後の試合が始まる。というのに重要な彼の姿が昼休みからずっと見当たらない。
「あら?そういえば修ちゃんは?」
「お前な…。いい加減その呼び方やめてやれよ」
近くにいた関口先輩に尋ねると、困ったように言われた。
何よ、この間まで一緒になって『修ちゃん』って呼んでたくせに。
「まあ、あいつなら多分もうすぐ戻ってくるよ」
「おーう、連れてきたぞー」
ちょうど修ちゃんが、とびきりいい笑顔で戻ってきた。
そしてその手には引きずられる見覚えのある姿があった。
「ほらアイサツ」
「ウィース」
祥ちゃんだ。
「灰崎…顔ヒデェ!」
どういうわけか本日欠場の祥ちゃんは修ちゃんにボッコボコにされて連れてこられていた。
「二軍の奴がゲーセンで遊んでるこいつ見つけてよ。近かったし会いに行ったら元気そうだったから連れてきた」
意地悪い笑みを浮かべながら、満足したように修ちゃんは言った。
祥ちゃんも祥ちゃんだ。
どうせサボるなら家で大人しくしていればいいのに。
本当にうちのバスケ部は馬鹿が多い。
「ユニも持ってきました」
「おう。じゃ着せとけ」
誰かを祥ちゃんの家に派遣したのだろうか、そこには『13』と書かれた正真正銘祥ちゃんのユニフォームがあった。