第7章 そういうことだったのね
「今から対戦する相手はそこまで手強いというわけではありませんが、一応5番の3Pには警戒しておいてください」
私が先日纏めた今日の対戦校のデータに目を通しながら彼らに告げた。
まあ、おそらく一年生だけでもなんてことはないのだろうが、これも仕事なので仕方ない。
「灰崎は欠場。よってスタメンを変更する」
コーチがメンバー表を見ながら読み上げていった。
「スターティングメンバーは、赤司、青峰、緑間、紫原、そして灰崎の代わりに黒子。以上だ。行って来い」
やっぱりそうなっちゃうのよね。
だけど、テツ君は今日初試合なんだし、まずは様子見からでも良かったんじゃ…、と思いテツ君を見ると今日一番に固まっていた。
「…帝光四人しか整列してなくね?」
「…いや!いるよもうひとり…。つかウッス!」
「え…あ!え!?あれが!?帝光のスタメン!?」
頭上のギャラリーから様々な声が降ってくる。
「早速ミスディレクションが効いてる…の…?」
「いや、あれはちげーよ。元々薄いだけだろ」
私はスコアブックを広げベンチに座り、修ちゃんと不安そうにコートに立つテツ君を見た。
彼は生まれたての子ジカのようにガクガクと震えていて、私の不安をより一層強めた。
そして試合が開始され、まずは帝光ボールからスタートした。