第24章 誰でもない私のせいで
休憩に入った征十郎は私の姿を見つけ、こちらへ来た。
確かに、この人は赤司征十郎で間違いない。
だけど、違う。
私は…こんな人、知らない。
「…四日間も部活を空けてしまってごめんなさい。もう平気よ。でも、今日は顔を出すだけにして、練習に出るのは明日からにするわ」
嘘をついた。
「そうか、わかった。お大事に」
それだけ言うと、征十郎はコートの中へ戻って行った。
「あ、カスミン!」
征十郎の後姿を見た時、私はこの空気の悪さに耐え切れず、体育館を出て走り出した。
さっちゃんが私を呼び止める声が聞こえたが、振り返っている余裕などなかった。
少しでも早く、少しでも遠い場所へ、どこでもいいからあの場所から離れたかった。
「……」
体育館から離れたところまで走り、校内で一番端の校舎まで来た。
校舎の壁に頭からもたれ掛け、そのまま膝をついた。