第23章 私を認めて
―――「私を認めて」 「側にいさせて」
そう続けようとした私の言葉は、大ちゃんの声で遮られた。
「馬鹿、青峰っち!今行くべきじゃ…」
「あ゛あ?お前が行くっつたんだろーが」
声のする方を見れば、大ちゃんと黄瀬。
その後ろから真ちゃん、テツ君、さっちゃん、面倒くさそうにあっくんまでもついてきていた。
「なんだ、お前たち。付いてきたのか」
「こいつらがどーしても、っつーからよー」
大ちゃんたちは、階段を一歩一歩下りて、私と征十郎がいる少し狭い踊り場までやってくる。
私は、皆がここへ来るまでに、と急いで涙を拭いた。
「おーい、どこ蹴ってんだよー」
ふと、どこかからそんな声が聞こえた。
「赤司君、藍川さん!危ない!!」
テツ君の慌てた声がした。
それを聞いた私が顔をあげると、こちらへ向かって、スピードの出たサッカーボールが飛んでくる。
突然の出来事に、一瞬体が硬直してしまい、避けなきゃ…と一歩後ずさった。
「!」
…あら?そう言えば…、今朝まで雨が降ってたんだっけ…。
一歩後ずさった私の足は、雨でぬれたコンクリートで滑る。
「っ、華澄っっ!!」
初めて聞くのではないか、と思うほどの征十郎の悲鳴に近い叫び声が聞こえた。