第23章 私を認めて
そして、私は一瞬で彼が何に苦しんでいるのかも理解した。
「弱音を吐くことは、負けじゃないわ…」
ポツリ、と私は呟いた。
「自分の弱さを知っているからこそまた強くなれるんじゃない。自分の弱い部分を認めるのだって一つの勝利なのよ?」
征十郎が悩んでいること。
それは皆の才能の開花。
それは主将の征十郎ですら手に負えなくなってきている。
特にあっくんは最近、征十郎への反抗がよく目立つ。
なのに、当の本人、征十郎は現状を維持したまま。
きっと、置いて行かれるのではないか、彼らを制御できなくなるのではないか、という不安に襲われているんだ。
「私は、あなたに特別何かしてあげられるわけじゃないわ。でも話を聞くことくらいはできる」
それで征十郎が少しでも楽になれるのならば、いくらでも聞く。
だから…。
と思ったその瞬間。
私は突然、背中に少しの痛みを伴い、続けようとしていた言葉を出せなかった。
「お前に…、華澄に俺の何がわかると言うんだ!」
私は両手首をつかまれ、壁に押さえつけられていた。
征十郎が怒っている、ということが分かったのは顔をあげてから。
「せい…じゅ、ろ…?」
「何もできないくせに、たかがいちマネージャーに過ぎないお前に何ができる!余計な口を挟むな!」
…何も…できない…
ただの、いちマネージャー…。