第22章 絶対間違ってない
今日のところは、目立った体の不調は見られないが、精神面からくる疲労が大きいはずだわ。
しっかり休養を取らせないと…。
「おーい、青峰」
「おお、久しぶり!元気してたかよ?」
ベンチを空け、控室へ戻って行く中で誰かが大ちゃんを引き止める。
「あーあの人見たことあるー。誰だっけ?」
「上崎中の井上さん…じゃなかったかしら。ほら、去年大ちゃんと競ってた」
「そーだったかもー」
「というか、あっくん。重いから離して…」
かすかな記憶を辿ると、去年の全中で大ちゃんととてもいい勝負になっていた井上さんだということを思い出した。
これまででもあそこまで大ちゃんと競った人はいないんじゃないか、と思うほど上手かった覚えがある。
大ちゃんも、井上さんとの試合を楽しみにしているように、笑っていた。
「上崎中ということは明日の第一試合目の対戦校なのだよ」
「井上さんのプレイ好きだから、もっと見たかったわ」
「俺たちが勝つことが前提なんだね」
「あら、違うの?」
第一試合目か…。
井上さんには悪いけど、決勝トーナメント一回戦でサヨナラ、ね。