第21章 もう知らない
そんなことを考えながら極力征十郎の近くを歩いていると、またもや茂みの中からガサッと物音が聞こえてきて、私は思わず征十郎に飛びつく。
「……」
「ちっ違うわ!こ、これは…ほら、征十郎の服にゴミが付いていたのよ…っ」
「……そうか」
その後も何故かターゲットは私ばかりで、その度に立ち止まってしまう私をチラリとだけ見ると、冷酷非道な征十郎は置いて行こうとしてしまう。
そんな征十郎に腹をたてながらも、いつの間にか例の祠。
「「……」」
そこに置いてあったのは、征十郎は本。
私に関しては小さい頃や帝光祭の時の無理して愛想を振りまく私の写真の数々。
「(…修ちゃん!!)」
絶対修ちゃんの仕業ね!
それに私たちが最後なんだから皆にこれ見られてるじゃない!馬鹿!
「ほら、戻るぞ。早くしろ」
「わかってるわよ。いちいち言わないでくれるかしら」
その場で私と征十郎はまたもや火花を散らすが、征十郎はすぐに目を逸らして進んで行ってしまう。
くそっ、と思いながらそれを追いかけようとした時。
「……華澄……」
「…ぃいやああぁぁああああっっ」
後ろから誰かに肩をつかまれ、私は今日一番の悲鳴を上げた。