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青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第5章 「怖い」と感じた



季節はあっという間に流れ、夏が過ぎた。

初っ端から一軍入りを果たした一年生五人は、あっという間にレギュラー入り、夏の全中優勝に大きく貢献し、『キセキの世代』だとか言われ始めた。

そして、三年生が引退した後には噂通り、凶悪顔の従兄、つまり修ちゃんが主将となった。

全中前には帝光祭も行われ、私はミスコンでなんとグランプリをとった。

しかし、賞品の学食無料券一年分は大食いのあっくんと、人のものをすぐに奪う祥ちゃんにあっさり盗られた。まあ、祥ちゃんの場合はそれが修ちゃんにバレてしまい、きつくシメられていたが、結局祥ちゃんから取り上げた学食無料券は修ちゃんがそのまま貰ったため、私の手元に帰ってくることはなかった。


「最近、三軍の体育館でお化け出るんだって」

「……」


部活の片づけをしていると、隣を歩くさっちゃんが突然妙なことを口に出し、私は彼女に訝しげな視線を送った。


「本当なんだってば!」

「藍川、アイシング頼む」

「はい。今行きます」

「あ、もう!本当なんだから!」


全中あたりから私は一軍専属に配置され、主に部員の身体管理を任された。

以前はテーピングや傷の手当だけだったが、エリカさんが言っていた通り意外にも私にはマネージャーとしての才能があったらしく、最近は怪我の処置だけでなく、その未然防止や体調の管理、さらに独学でテーピングも怪我の具合で使い分けることができるようになっていた。

だが、身体管理だけではなく、今まで行ってきた雑務もしっかりこなさなくてはならない。

少々仕事は増えたが、全く苦ではなかった。


「大ちゃん、どこか行くの?」


先輩に呼ばれ、部員のアイシングや帰宅後の柔軟・ケアなどの指示をしていると、ボールを持った大ちゃんが体育館を出ていこうとしていた。


「三軍の体育館って空いてるだろ?自主練したいんだけどよ、ここじゃ人が多くてな」

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