第18章 形無しだわ
「な、何だったの…?」
私とあっちゃんは困惑した表情で、黒板の上にある放送機を見つめていた。
すると、ガタッと音を立てて、久美ちゃんたちは全員立ち上がる。
「黄瀬君とツーショット?!」
「私、天使のゴールドマーク集めてたの!」
「緑間君のカエルちゃん欲しいと思ってたんだ!」
そう言い残すと、彼女らは教室を出て、視聴覚室の方へ走り去っていった。
彼女らだけではない。
クラスのほとんどが教室を急いだように出て行く。
「黒子君…あんな一面もあったんだね…。でも、あの面々に赤司様が入ってないって珍しいね?」
「どうせ征十郎の入れ知恵じゃないの?」
その時、視聴覚室の方から「覚えてろよ、赤司ぃぃいい!」と、校内中に響き渡るように叫ぶ大ちゃんの声が聞こえてきた。
「ほらね?」
「う、うん…」
暫くすると、私たちの教室の前を大ちゃん、黄瀬、真ちゃん、あっくんと彼らを追う生徒と教師の大群が走り去っていくのが見えた。
それを悠々と眺めながら、私はまたイチゴオレを一口飲んだ。