第17章 仕方ないわよね…
大ちゃんが席を立ったことによって、その後は皆ぞろぞろと席を立ち、各自自分のクラスへと戻って行った。
征十郎と並んで廊下を歩いていた私は彼にそう告げた。
「どうしてだい?」
当然、征十郎は少し首を傾げて私に問いかける。
「確かに試合中のモチベーションの低下は私も気になっていたわ。でも何というか…今の大ちゃんにはあまりそういうことをしない方がいいと思うの。逆効果にならないかが心配だわ。だからと言って、別のいい案があるわけではないのだけど…」
「ふむ…」
私がそう言うと、征十郎は少し考えるような仕草を見せた。
「先程も言ったが、俺も好んでこうしているわけではない。できることならとりたくない手段だが、こうするのが一番手っ取り早い」
「そう、ね…。征十郎がそう言うのなら仕方ないわよね…」
納得はできないが、これを認めるしかない。
彼は、いつだって正しかったのだから。
きっと今回もそのうち正しかった、って思えるのだろう。