第15章 これが恋というものか
「桃井さん、このチョコレート美味しいですよ」
テツ君が征十郎から分けてもらったお菓子のなかから、チョコレートを選んで口に運び、それをさっちゃんにも分ける。
「あ、食べたーい」
「おへもはへたーい」
「紫原、こぼすな」
「ん、ごめーん」
「もう、ほら。また口元にお菓子の屑がついてるわよ」
何言ってるかわからないあっくんは口からお菓子をポロポロとこぼしながらテツ君に近づき、征十郎に叱られる。
私はいつものようにあっくんの口元についたお菓子の屑を取る。
その度にあっくんは嬉しそうに笑う。
…本当、おっきな弟を持った気分だわ。
「赤司っちも焼きそばどっスか?嫌いじゃないッスよね?」
「焼きそば嫌いな奴なんているのか?」
「青峰、それは偏見だ」
「じゃあ嫌いなのかよ」
「嫌いではないな」
黄瀬と大ちゃん、征十郎のやり取りを見ながら、少しおかしくて私は小さく笑ってしまう。
「じゃあどうぞ」
「でも紅ショウガは嫌いだ」
「え」
「妙な好き嫌いすんなよ」