第4章 深く考えるのは止そう
「いってーっっ」
遠征二日目。
午前中最後のゲーム中にコート上に大ちゃんの叫び声が響いた。
シュートを決めようとゴールへ向かって高く飛んだ大ちゃんとそれを阻止しようとした相手チームの選手がぶつかってしまったのだ。
「大丈夫か?」
「ハハッ、これくらいなんとも…ん?」
「どうした?」
ゲームに出ていた他四名が大ちゃんを囲み、何やら話している。
暫くすると、先輩二人の肩を借りた大ちゃんがベンチに戻ってきた。それも右足を引きずって。
「藍川、青峰のこと頼んでもいい?」
「捻ったんですか?」
「そうみてぇ」
そうみてぇ、って自分のことくらいわかるでしょ。
とりあえず大ちゃんが怪我をしようがしまいがゲームは再開されるので、大ちゃんを風通しの良さそうなところに寝ころばせ、バッシュを脱がせた。
「少し熱持ってる。でも、捻ってはないわ」
「んじゃ試合出ても問題ねーか」
「なわけないでしょ」
バスケバカな大ちゃんは、ゲームに出れないのがそんなに嫌か、というほど大きなため息をついた。
そんな大ちゃんを見ながら、私は少し熱を持った足首にアイシングを施す。