第13章 覚悟してね?
征十郎を好きだと自覚してから、私は意外と依然としていた。
そりゃ、征十郎の近くにいたりすると、前より動悸がするし、正直直視するのも息が止まりそうになる。
しかし、ここであからさまな態度をとって周囲にばれてしまう…、それだけは避けたかった。
…だって、恥ずかしいから。
*
遠征が終わると、次に私たちに待ち構えているもの、それは中間考査。
いくらバスケ部が全国レベルで強かろうが、私たちの本業は学生だ。
そして明日からはテスト期間のために中間考査最終日まで十一日間もの間、部活は停止となる。
今日はその前日。テスト前の最後の部活だ。
「え?基礎練だけ?」
放課後、部活に向かう途中で関口先輩に会った。
そこで何度も言うがテスト前最後の部活というなかなか重要な今日、練習は基礎練習だけで早めに切り上げる、ということを聞いた。
「それ、マネージャー要りますか?」
基礎練習だけ、と聞いた途端、私のやる気は半減した。
もうこのまま帰ってしまおうか、という考えまで出てくる。
が、そんなことを修ちゃんや征十郎が許してくれるわけはない。ならば体育館に行く前に帰ろうではないか。
「要るか要らないかで聞かれたら、そりゃ要るだろ。でも仕事は少ないだろうな」
「では、やることないんで私は帰ります」
「え、ちょっ、藍川?!」
関口先輩の引き止める声を無視し、私はそのまま更衣室ではなく、校門の方へ向かって歩きだした。
折角部活がないのだ(ないと言ってもサボっただけ)。
ちょうどコンタクトの在庫が少なくなっていたことを思い出した私は掛かり付けの眼科によってでも帰るか、と思い、家とは逆の方向へ向かった。