第12章 馬鹿とは何よ
部屋ではさっちゃんがまたテツ君について語っていたが、これもまた私はちくわ耳だ。
「さっちゃん」
「ん?何?」
「好きってどんな感覚?」
私が横になったままさっちゃんに背を向けて尋ねると、さっちゃんは、んー?と少し考えて答えた。
「その人を見てるだけで胸がキュンってなったり、もっと近くにいたい、って思ったり…かな。って私はまだ確かめてる段階なんだけどね!」
「そっか」
そうなんだ。
私、征十郎のことがずっと好きだったんだ…。
*
翌日は基礎練だけをして空港へ向かい、帰宅した。
好きだと自覚した途端、征十郎の顔を直視できずに、不審な動きになっていないかハラハラしたが、普段通りに接することができた…はず。
…今年のゴールデンウィーク遠征はなんだか精神的に疲れるものになったな、と感じた。