【恋の乱】才蔵さんと過ごす四季【章により裏R18あり】
第4章 秋【裏R18】〜月光〜
その話は突然降って湧いた。
私が京の公家、今出川家にふた月ほど菓子作りの出張指南をすることになったのだ。
武田の居城に京の今出川様がいらっしゃったのはひと月くらい前だっただろうか。
武田の姫様が今出川様に嫁いだ縁で一カ月ほど滞在されたのだ。
京出身の私も当然お菓子やお料理で今出川様をおもてなしすることとなった。
茶席での茶菓子はもちろん、得意の南蛮菓子も工夫を重ね数種類をお出しした。
その菓子に今出川様がいたく感激され、私を菓子の指南役として派遣願いたい、との意向だった。
信玄様がこれを断る理由もなく、私も拒否できる立場でもなく、2カ月の期間限定という約束で出張指南が決まった。
それは才蔵さんが任務で留守中のことだった。
誰も才蔵さんがどこにいつまで行ってるのか知らない。
最後に才蔵さんに直接話せなかったのは残念だけど、2ヶ月後にはまたここに戻ってこれるから。
休みの日には京の実家に戻っても良いということだったし、そういう嬉しさもあった。
私は幸村様や佐助くんに別れを告げ、今出川様の一行とともに京に向かったのだった。