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DIABOLIK LOVERS短編集

第2章 兄 *Kou



「コウ」


「ッ!!」

少し離れたところに立つルキが俺の名を呼ぶ
少なからず驚いて、コウは反応が遅れる

「なんだ〜気づいてたの?」

コウはいつもの調子でちょこんと姿を現す

ルキは少し呆れた面持ちで溜息をつく

「覗き見とは趣味が悪いな」

「人聞き悪いなぁー、俺はただ通りかかっただけだよ?」

「ふっ....どうだか」

コウの言葉を軽く流し、ルキは正面玄関の方へ歩き出す

「........」


何があっても動じない、あまり感情を表に出さない


「ルキくん」

前を歩くルキは「どうした?」と振り返る


「俺....」

コウは少し下を向く


俺は、ルキくんみたいに頭も良くないし、ユーマくんほど力もない....アズサくんみたいに器用な事も出来ない....

自分自身、心の何かが欠如している事も自覚はある....

あるのはあの方から貰ったこの目だけ....

でも、この力も上手く使う事は出来ていない

人の薄黒い奥底を見ているようで....

だから....俺は....


『お前と俺は違う』


ルキは一言呟く

「えっ....」


コウは心の中を見透かされたようで驚いた


「人は助け合える、互いの短所を補って生きていけるんだ

それに、俺達は元人間....

今までもそうだっただろう?」


「....っ....」


俺はずっと悩んでた

こんな自分があの方の役に立てるのか....

このままみんなと一緒にいられるのか....

でも、完璧な存在なんて居ない

俺はルキくんとは違う

でも、違っていいんだ....

ルキの言葉にコウは改めて気付かされた


やっぱり、ルキには全てお見通しだ


コウの顔に笑顔が戻り、ルキの横に並ぶ

なんだか、足取りが軽い



ずっと背中を見てきた俺はやっと本当の意味でルキと話せた気がした


ルキを後ろから追いかけるのは止めよう



俺達は兄弟なんだからーーー

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