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DIABOLIK LOVERS短編集

第4章 許されない罪 *Reiji



海が見える丘の下に、ヴァイオリンを構える1人の男が立っていた

「やはり、貴方でしたか....シュウ」

ベアトリクスと同じ色をした、短い髪が流れるように風に靡く

自分達兄弟は、似ているところなど全く無いが、母親を見れば一目瞭然だろう

「レイジか....何の様だ」

ヴァイオリンを下ろし、少し高い所にいるレイジを見上げる

「貴方こそどうしたのですか?

だるい、面倒が口癖の貴方が....どうしてこんなところまで」


「別に。ただ、これ弾くのには静かな場所が最適だからな」

シュウは誤魔化すように、その場に座り込む


そんな戯言レイジには通用しなかった

それに、彼は知っていた

毎年この日にはいつも、ここからこの音色が聴こえてくるという事を....

しかし、今までずっと正体に気づいていながら
ここまで来たのは初めてだった

(ふっ....この人を無視出来ないなんて....私もどうかしてしまったのでしょうかね....)

「シュウ」

何故だろうか....本当に今日の自分はどこか可笑しい

しかし、思ったのも束の間で気づいた時にはもう私の口は動いていた


「....母上を殺した私を....貴方は恨みますか?」

シュウは珍しく驚いた顔をする

私がこんな事を、よりにもよってこの男に尋ねるのは....きっとこれが初めてで最後となるでしょう

しかし、シュウはすぐにいつもの落ち着いた様子に戻り、鼻で笑う

「別に、あの女がどうなろうが俺には関係ない

いやむしろ、喜んでるのかもな
もう2度と説教される事もない」

「........」

黙り込むレイジにシュウは言葉を発する

「....あいつはお前に殺される運命だった

それだけの事だろ」

何でもないように言うシュウにレイジは、相変わらずですねと相槌を打つ

「ヴァンパイアにとって死とは幸福だ

....お前もそれを分かってたんじゃないのか?」

珍しく話に食いつくシュウに内心違和感を感じた

「....あの人に、幸福など似合わない....
死よりも辛い"苦痛"こそお似合いだ

シュウ、貴方も」

自分はもう取り返しの効かない所まで来てしまった

気づいた時には既に遅く、眼鏡の下に映る瞳は紅く、紅く染まっていた

今更....もう戻れないーーーー

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