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DIABOLIK LOVERS短編集

第4章 許されない罪 *Reiji



"レイジ"

懐かしく、恨めしいあの女の声が聞こえる


ーーー貴方は本当に賢い人ですね

貴方は将来、その力で....


女の口元が緩む

あぁ、まただ

その言葉を私は嫌というほど聞かされていた


"シュウ"の補佐として、この家をーーーーー

五月蝿い、黙れ

それ以上はもう....聞きたくなかった


『殺しなさい。あの女を....

"母上"を』

ーーーーバンッ!!

乾いた銃声と共に、あの2度と忘れられないであろう濃い血の匂いが辺りを包む....

気づけば目の前にはあの女の死体があった

しかし、彼女は温かい笑みを浮かべ、私を見て微笑みかけた

その時....自らの手がひどく震えているのがわかった

すると突然
今度は一変して、辺りは木の焼けた焦げ臭い匂いが広がる

そして少し遠い所には、今よりずっと小さい自分がこちらを向いて立っているのが見えた

子供の彼は何か口ずさんでいる

口元をよく見ると自ずと言葉が耳に入って来た



『愚か者』




ーーーーーバッ!!!

レイジは、息を切らし驚いたように起き上がった

「はぁ....はぁ....」

夢だとわかり、肩をほっとなでおろす

しかし、ここがどこかも分からないくらい夢に落ちていたようで、レイジは頭を抱える

締められたカーテンの隙間からは薄明るい夕日が漏れていた

「....随分と寝ていたようです....ね」

レイジは、枕元に置いてある眼鏡を取り、立ち上がる

ベッドの側には大きな鏡が置いてあり、そこに写る自分の姿をちらりと見る

髪を鬱陶しく思い、搔き上げる

すると、余計に見える自らの瞳に嫌気がさした

紅く鋭い瞳は父親譲りであり、容姿も昔のあの方に似ていると、周りからよく言われていた

父は偉大であり、憧れでもあった

しかしあの方の子息であると、自覚する度自らの心は苛まれた


レイジはその瞳を隠すように眼鏡をかける


「はぁ....」

何故か、今日は感傷的な気分になっている自分にため息をつく

そして、時計を見るついでに今日の日付を視界に入れた


そうか....今日はーーーーーー







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