第2章 2話
その声を聞いた瞬間だった。
「ぎゃああぁあああ」
耳を劈くような鋭い声に意識が朦朧としていた私はいきなり頭が浮上した。
それと同時にバランスを崩した男が私を肩から落とし、私は地面にすごい勢いで落とされた。
「あーあ、痛そー。でも、後で手当てしてあげるんでちょっと待ってて欲しいっす。」
頭上でする声に顔を上げればサラサラの金髪に綺麗な整った顔をした男の子が立っていた。
その子は白いブラウスに真っ黒のズボンと言う実にシンプルなファッションであるのに無駄にカッコ良く見えた。
「な、ナイ、ト、の、登場、、か。」
私を担いでいた男は左目を押さえてしゃがみこんでいた。
「ナイト???何でもいーけど、あんたちょっとやり過ぎ。」
そう言って金色の髪に指を通しながら言った。
「おっさん半獣?というか狼男かなんか?なんでもいーけど消えてくんないすか?殺ししちゃうよ?」
綺麗な笑顔を浮かべているのに顔は笑っていなかった。
「さっさと退散するとしようかな。今日はちょっと分が悪い。」
男は立ち上がり左目に刺さったナイフを抜き、そのナイフで私の体に巻きつけられた縄を切った。
「また、お迎えに上がるよ。俺のかわいい子猫ちゃん」
私の手を取り手の甲に口づけ、男はさっさと立ち去って行った。