第1章 1話
そこでおかしな状況にもうひとつ気がついた。
人が住んでる気配こそするがあまりにも静かだったことに。
家はどの家々も磨りガラスから灯りが漏れているにも関わらず静寂だった。
私は不安になりある一軒に近づき扉の丸い金具を扉に叩きつけるように二回ノックした。
「すいません、誰かいませんか」
そう言っても誰も返事してくれない。
「お邪魔します。」
心配になったので一言言って中に入れば凄まじい光景と鼻を劈くような鋭い匂いに目眩を覚えた。
目の前の光景は信じたくない、嘘であって欲しいと願ったぐらいだ。
人が原型もわからないほど無惨に殺され部屋の其処彼処に血が飛び散っていた。
よくよく見れば手や足は骨になっており恐らく捕食されたのではと伺えられる信じがたい光景だった。
私はひっと小さく悲鳴をあげ、隣の家のドアをどんどんと叩き同じように返事のない家々を訪ね回った。
どこに行ってもどこもおんなじ光景だった。