第4章 4話
部屋を出て行った彼の後を付いて部屋を出ると私は思わず驚きの声を発した。
「すっごい広くて不思議な家ですね。まるでお城のようでびっくり。」
私の発した声に彼は軽くははっと笑った。
「俺も初めてこの家に来た時は広すぎて何度か迷子になったんすよ。」
「そうですよね、こんなの誰でも迷子になりますよ。」
長い廊下に移動式の階段、壁には幾つもの彫刻が彫られ掛かっている絵は何処かの貴族の肖像画に見える。たまに目がキョロキョロと不審な動きをしていたり、行く先々で壁のろうそくに急に火が付いたりと随分お金がかけられた家だ。
「この家の所有者は随分お金持ちな方なんですね。」
「そりゃあ、この世界じゃ1、2を争うトップ中のトップの金持ちっすからお金も有り余るほど持ってるんすよ。」
「あなたのご両親は素晴らしい方なんですね。」
「俺の親じゃないっすよ。」
「??あなたはお手伝いさんですか?」
「いやぁ、俺は居候してるだけっすよ。今はね。」
彼の言い方に曖昧に納得した。
私と彼は随分と歩いた先の突き当たりの両開きの大きな木の扉の前に来た。
彼はその大きな扉の前でポケットから木の棒を取り出し扉に向かって何かを呟いた。
すると扉は誰かの手によって開けられるのではなく一人でに開きはじめた。