第4章 4話
ふわふわとした見たことのある懐かしい世界に私はいた。
何処だかはわからない。
視界がぼやけて前がはっきりしていなかった。
薄暗い狭い路地裏のような場所で夢中で浸すら何かから逃げる様にただただ走って走って走って逃げていた。
何に追われているのかはわからなかった。
でも、振り返ればすぐそこに闇があることは知っていて振り向くことも許されずただ走っていた。
そうして走って行くうちに足は縺れだんだんとペースは乱れ呼吸もままならないくらいしんどくなり、後ろから忍び寄る闇に飲み込まれかけ絶対絶命のピンチに私は陥った。
そんな時だった。
「大丈夫?」
それは何処からともなく現れた太陽が私の目の前に現れたと思った。
それは太陽ではなく私と同じくらいの金髪の少年のようだ。ぼやけていて顔はよくわからないが、少年は私に手を差し伸べると軽く微笑んでいる様だった。
「俺がこいつらやっつけてやるっす。」
白いレースのブラウスとサスペンダーのついた黒いタイトズボンに黒のローファーという何処かの王子様みたいな格好をした少年は私にそう笑いかけた。
私もそんな彼に安心し、伸ばしかけた。
「だから、君のお肉を俺にちょうだい?」
彼の微笑んだ歯に真っ赤な血が張り付き、差し伸べられていた手もよく見れば真紅の真新しい血がついていた。