第3章 3話
少女が床に頭を打ち付ける寸前の所で何とかだき込めたことにほっと息を吐いた。
「また、ここに来ちゃったんスね。」
優しく守るように体を包めば、綺麗な顔には涙の跡が幾つもあった。
体に目をやれば胸元が大きく開いた服を着ていたので服事態が破けていたわけではないが、首は血が止まっていて怪我も塞がってはいるものの流れた血の所為で赤く血の塊が固まっていた。
「さて、黒子っち達の元に行くっスか。その前に」
少年は優しく唇に唇を押し当てた。
「おかえりなさい。まりあ」
少年は少女の膝の裏に腕を入れ頭を自分の胸に押さえつけるように抱えた。
「重い。…しょうがないから使うか。後で赤司っちに叱られたらなんて言えばいいんすかね。」
少年がポケットから木の棒を出し、何かを唱えた。
彼らが街から出た瞬間、一斉に灯りが消えた。