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Love Story~たくさんの 恋物語~【黒子のバスケ】

第5章 Kisses~愛のカタチ~


【雨上がりの夜空に 緑間 真太郎】


今日は、朝からずっと雨。
同じクラスの彼女・・・優奈は、窓の外を見ながらため息をついている。

チャイムが鳴り、俺は優奈の所に向かう。
「さっきから、何をため息ばかりついているのだよ」

「あ、真太郎?」
俺の言葉に驚いたのか、目をぱちぱちさせている。
「だってさ、今日はせっかく真太郎と一緒に帰れるのに、雨なんだもん・・・」
とふてくされている。

「部活が終わるころにはあがっているかもしれないだろう?」
俺がそう言うと
「そうだといいな・・・ね、真太郎」
と笑顔で応えてくれた。

俺と優奈は、付き合い始めてまだ1カ月ほど。
お互いに、バスケ部と吹奏楽部と部活に忙しい毎日を送っている。
優奈のフルートを吹いている姿に一目ぼれをしたなんて、口が裂けても言えないのだが。

練習の休憩時間。
校舎からは、吹奏楽部の練習が聞こえてくる。
「ノクターンか・・・」
俺は目を閉じ、しばしその曲を聞いていた。
そして、曲を奏でる優奈の姿を想像する。

「し~んちゃん」
背後からの聞きなれた声にハッと我に返る。
「なんなのだよ、高尾」
せっかくの雰囲気が台無しではないか。
「ごめん、ごめん。もうじき練習再開だからさ~。あっ、そう言えばもうじき吹奏楽部って大会だったよね?優奈ちゃん練習してんだろうな~」
と、校舎に目を向けた。

ふと気づくと、雨が上がっていた。
きっと優奈の機嫌も直っているだろう。

部活が終わり、優奈との待ち合わせ場所に向かう。
「優奈」
名前を呼ぶと、「真太郎、お疲れ様!」と笑顔で迎えてくれた。
「雨、上がったね」
優奈が嬉しそうに空を見上げる。
まだ木々は雨に濡れていて、月の光に照らされてキラキラしていた。

「優奈」
そう言って俺は優奈を抱きしめる。
「し、真太郎?」
ちょっと驚きながらも、俺の背中に腕を回してそれに応えてくれる。
「俺は、どんな天気でも優奈と一緒なら・・・」
言いかけている途中で、ふと唇にあたたかいものが触れた。
「な、なんなのだよ!」
慌てている俺を、優奈はクスクス笑って見ている。
「うん、私も」

大切な彼女と見上げる夜空には満天の星が輝いていた。



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