Love Story~たくさんの 恋物語~【黒子のバスケ】
第1章 The signs of LOVE 【実渕 玲央】
今日は朝練がなかったから、少し早めに教室に向かうことにしたの。
誰もいない教室って、結構好きなのよね。
ガラッ
その音に少し驚き振り向いたのは、クラスメイトで親友の優奈だった。
「玲央?」
振り向いた彼女はどこか元気がなく、泣いていたのかしら?目元がほんのりと赤かった。
「あら、優奈じゃない? おはよう、やけに早いのね」
できるだけいつも通りに優奈に話しかけたわ。
すると優奈は
「えへへ、なんか早く目が覚めちゃって。朝練がなかったけど、する事がないから学校に来ちゃった」
と笑ってみせた。
ねぇ、優奈
1年の時から、クラスでも部活でもずっとあなたの事を見てきたの。
だからアタシにはわかるの。
どうしてそんなに無理をして笑うの?
何が・・・誰が、あなたをそんな寂しそうな顔にさせているの?
聞きたいけれど、それをグッと飲み込んだわ。
「あら、アタシもよ。気が合うわね」
そう言って、優奈の隣に座る。
できるだけ普通に・・・と思っていたけどダメね。
そばで見る優奈の顔は、泣きはらした目が痛々しくて顔色も悪かったわ。
気づけば、アタシは優奈の頬に手を伸ばしていた。
「優奈。話したくなければいいけれど」
そう前置きをして、優奈の頬に触れたわ。
すると、優奈は少し俯いてこう言ったの。
「玲央、私ね・・私ね・・・」