Love Story~たくさんの 恋物語~【黒子のバスケ】
第2章 ムーンライトストーリー【赤司 征十郎】
「せいじゅうろうくん?」
静かな満月の夜
月明かりが窓から差し込んでいる。
窓辺にいた女の子が、可愛らしい声で答えた。
今日は、幼稚舎のお泊り会。
僕が眠れないでいると、窓辺で1人外を眺めている女の子がいた。
その綺麗な横顔に思わず引き込まれそうになる。
このまま月に行ってしまうのではないか?そう思わせる位に目が離せなかった。
僕は静かに彼女のそばに行き話しかけた。
「どうしたんだい、ねむれないのかい?」
すると彼女は
「うん、なんかねむれなくて。そうしたらおつきさまがすごくきれいで。だからずっとみていたの」
と言って笑顔を向けた。
彼女の名前は優奈
名家のお嬢様なのに、気取ったところは一切なくみんなに優しい。
そして、笑顔のとても可愛い女の子だ。
「すこしはなしをしようか?」
そう問いかけると
「うん」
と言って、僕の手ギュッと握ってきた。
「優奈は、しょうらいなにになりたいんだい?」
何を話してよいかわからなかった僕は、ありきたりな質問をしてしまった。
すると優奈は、顔を真っ赤にしてモジモジし始めた。
「・・・・さん」
消え入るような声で答える優奈。
「優奈?なんていったんだい?きこえなかったよ?」
「お・・・およめさんになりたいの・・・せいじゅうろうくんの」
優奈のその言葉にびっくりして振り向くと、優奈はますます真っ赤な顔で俯いていた。
「ぼくの?」
と優奈に聞き返すと
「うん」
そう言って、優奈は僕の方を見た。
その照れた可愛らしい顔を見た瞬間、僕の心は全て優奈に持っていかれてしまった。
「ありがとう、優奈。ぼくも優奈がおよめさんになってくれるとうれしいよ」
そう言って、優奈の頬にキスをした。
優奈はとびきりの笑顔で
「じゃあ、やくそくね!ゆびきりげんまん!」
と言って小指を差し出した。
「ゆびきりげんまん」
僕もそう言って、優奈の小指に自分の小指を絡めた。
とても小さな約束。
だけど僕にとっては何よりも大切な約束だった。
窓から見える月だけが、僕たちの約束を見つめていた。