第7章 お久しぶりです月山さん。
「...ごめん、大丈夫だよ。」
アヤトくんに心配を掛けないように少しだけ微笑んで見せる。トーカちゃんもアヤトくんも、人の事を心配しすぎる所があるから...。"あんていく"を守りたい。でもきっとCCGは強い。僕はそこで死ぬか、もしくは後遺症が残るくらいにはなるだろう。その前に、彼に、月山さんに会いに行こう。僕の事を好きだと、愛していると言ってくれた男の所へ。
「ねぇアヤトくん。ちょっと出掛けてくるね...今日は帰らないかも。」
「おゥ...分かった、気を付けて行ってこいよ?それと、何かあったらすぐ連絡することな。」
「分かった。」
「行ってら、カネキケンくんー。」
「行ってきます。」
彼らに別れを告げて一人で町に出る。昔、僕の髪が黒かった頃に行ったことのある月山さんの家へ向かう。豪奢な家のドアをノックすると、はい、と少し元気の無い声がした。
「今は使用人が居ないのでお引き取り頂けますか?」
ドアの向こうから聞こえてくる、久しぶりに聞いた月山さんの声。前よりもやはり少し元気が無い。
「...月山さん。僕です。金木、金木研です。」
「カネキくん?!」
ガチャ、と勢いよくドアが開き前と変わらない彼の紫色の髪が覗いた。