第3章 貴方になら良いです...月山さん。
次々に溢れてくる涙をごしごしと掌で拭いながら僕は俯いた。
「...ゆっくりで良いから、教えてくれないかな?君の力になりたいんだ。」
月山さんは僕の背中をそっと撫でながら言葉を促してきた。その優しい大きな手の温もりに僕は口を開いてすべてを話した。肩を喰べられた事、舐められた事、それに快感を覚えた事。そんな自分に嫌気がさした事。
「...フゥン...」
月山さんは黙って僕の話を聞いてくれた。話終わって、僕は彼にそっと訪ねた。
「僕の事、見捨てますか...?」
「何故だい?見捨てるわけないだろう?」
彼はそう答えて微かに微笑んだが、瞳は苛立ちに揺れていた。やっぱり、呆れられたのかな...。そう思っていると月山さんは僕の寝ているベットの縁に腰掛けて優しく僕の髪を撫でた。
「カネキくん、君は美しい。綺麗だよ。」
「でも、でも月山さん...僕は。」
やっぱり汚いんです、と言いかけるも彼のひと指し指が唇に押し当てられて言葉を発するのを止められてしまう。仕方無く黙ると彼の指はつぅっ、と僕の顎のラインをなぞった。
「...っん...月山、さん...っ?」
ぞくり、と背中に震えが走り彼のシャツを掴む。彼の指はそのまま首筋へと降りていった。優しい、まるで壊れ物にでも触るような手付きでゆっくりと体をなぞられる。それは、あの喰種に舐められた時の何倍も僕の体に、心に火を付けていく物で。
「ひぅ、んっ...」
自分では制御出来ない甘い声を月山さんに聞かれるのが恥ずかしくて僕は手で口を覆った。