第3章 貴方になら良いです...月山さん。
「声、聞かせてくれないか...?」
「...え...?」
突然月山さんが口を開き、そう呟いた。僕の眼を覗き込む彼は珍しく何時もの微笑みではなく真面目な無表情で、何を考えているか分からない。
「あの喰種には聞かせたんだろう?...僕にも、聞かせて欲しい。」
「...っ、でも、月山さん...僕は、変な声、出るの、恥ずかしくて...。」
「聞かせて。」
強めの口調でそう言うと彼は布団を捲り僕のシャツのボタンに手を掛けた。一つずつ、一つずつボタンが外されていく。少しずつ現れてくる細くて白い肌に僕は嫌気が差した。もっと頑丈な、男らしい体をしていたらあんな事にはならなかったかも知れない。ヨモさんとのトレーニング、もっと頑張れば良かった。そんな事を考えているといつの間にかすっかりシャツは取り除かれていて。
「カネキくん、僕が触って...あの喰種の感触が忘れられるとは思っていない。でも、君に僕以外の男が触れたという事実に僕は耐えきれない。」
「...良いです、よ。貴方になら。」
僕はそう口走っていた。月山さんになら、触られても、良い。そう思った。彼は驚いた様に眼を見開き、嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、カネキくん。」