第3章 貴方になら良いです...月山さん。
眼を開けるとベットの上だった。ふかふかの布団に埋もれたまま僕は肩の痛みに唸った。体が楽な姿勢に変えようと寝返りを打つとふわりと月山さんの匂いがした。月山さんは少し美味しそうな匂いがする。普段から上質な肉を食べているからだろう。
「good morningカネキくん、よく寝られたかな?」
良い匂いだなぁ、と枕に顔を押し付けていると月山さんの声が近くから聞こえた。ばッ、と顔を上げるとベットの横に彼は居た。椅子に座って読んでいたらしい本を棚に置いて、僕を心配そうに見ていた。
「おはようございます...あの、此所は...?」
「安心したまえ、此所は僕の家だよ。」
月山さんによると、彼は気絶した僕を家まで運んで目覚めるのを待っていたのだという。何処までも紳士な人だ。
「すいません月山さん、助けて頂いて...しかも、ベット借りてしまって。僕、汚いのに。」
「ノン、カネキくんは汚くなんかないよ?君は何時も誰よりも美しく、気丈だ。」
そんな事、ない。あの時、喰べられそうになりながらも僕は確かに快感を感じていた。体をなぞる舌に。思い出してしまい、ぶるッと身震いをする僕を月山さんは心配そうに見つめた。
「何か、されたのかい?」
彼の質問に、僕は答えることができなかった。