第15章 コスプレするなら心まで飾れ 〜対決、宇宙海賊春雨〜
そこには、先日『万事屋 銀ちゃん』で会った眼鏡の男の子が春雨の船員たちに囲まれ、チャイナドレスを着た女の子がボスの刀に引っ掛けられて今にも真下へ落ちそうになっている。
「……どうするの、銀時」
「決まってるだろ。おい、昏葉。縄は持ってるか?」
「縄!? そんな物……」
昏葉はそこまで言って、刀を携えている方と逆の腰に掛けられたポーチを見た。そして、その中へと手を入れる。
「……あった」
「……何でそんなもん持ってんだ?」
「四次元ポケットだから?」
「分かりやすい嘘をつくんじゃありません」
真顔で顔を見合わせて、男と女はやり取りをしている。
「今はそんなこと言ってる場合じゃないと思います」
「仰る通りです」
そう言うと、男は女が取り出した縄を奪い取って自分の左手に嵌めたフックに結びつけ始めた。
「おい、昏葉。これを適当にそこら辺に縛り付けろ」
「はァ!? あんた、何するつもりなのよ!」
「いいから早くしろ。神楽が下に落ちた時に助けられるようにするんだよ!」
「……」
(怪我人がどんな無茶しようとしてるのよ)
そう思ってはいても、大人しく止まるような男ではないと分かっている。女はふーと長く息を吐いた。