第9章 何よりも自分の命を大切にしろ 〜変わらない笑顔〜
昏葉は昨日の夜のことを思い出した。ーー銀時は本当に久しぶりだったらしく、前よりも乱暴だった気がした。きっと、日頃のストレスというのもあるのだろうなと思ったが……あの男にそんなものが存在するかどうかは謎だ。
「……昨日、何かあったアルカ?」
神楽は前に座っている昏葉に聞いた。
「うーん……特に何もなかったはずなんだけどね……」
女は少し苦笑いをして誤魔化した。ーー子供に大人の営みを教えることはどうかと思ったし、神楽の年でそのことを知るのはあまりいいことではないと思ったからだ。なにより……銀時に怒られそうだったという理由もある。
「新八〜飯は〜?」
「言われなくても用意してありますよ!」
新八は美味しそうな朝ごはんが用意されている机を指差した。
「お〜、助かるぜ」
銀時はソファに座り、ご飯を食べ始めた。
「昏葉」
「何?」
男は顔を上げた。
「……体……痛くねェか?」
「……痛くないけど?」
女は心の中で舌打ちをした。ーーせっかく、2人にバレないように誤魔化した後なのに、この男は何を言っているのかと。
案の定、新八は顔を赤くしている。
「そーか。ソファで寝かしちまったから、腰が痛いだの肩が痛いだの言うと思ったが……気遣わなくてもよかったんだな」
「……」