第8章 何よりも自分の命を大切にしろ 〜交わる想い〜
ーーでも、そのことは言えない。銀時のために、高杉が破壊活動をしているのは昏葉しか知らないのだ。
「昏葉……」
「確かに、あいつは変わってしまった。でも、変わってないところだって、ちゃんとあるはずだよ」
昏葉は泣きながら、必死に銀時に訴えた。
「あいつだって……晋助だって……」
「昏葉……わかった」
「晋助は……」
「わかった」
銀時は昏葉を優しく抱き締めた。
「わかった。わかったから、もう言わなくていい」
「……銀……」
「何も言うな」
(ずっと側にいてやるから)
「……」
昏葉は黙って銀時の体に自分の体を預けた。
(銀時……)
ーごめんね……。ーーあなたにちゃんと向き直れなくて……。
昏葉は泣いた。
ーあいつは……銀時は……いや、銀時なら、お前のことを……大切にしてくれるはずだ。
昔、戦争が終わった後に桂から言われた言葉だ。
「銀時……」
「……何だ?」
「……ヤりたい?」
「……」
銀時は抱き締めている女の顔を覗き込んだ。
「……いいのか?」
昏葉は黙って頷いた。
「……」
男はそっと女の唇に自分のそれを重ね合わせた。
「……いいのか? 俺でも」
昏葉はまた、黙って頷いた。