第8章 何よりも自分の命を大切にしろ 〜交わる想い〜
「な、何で……」
「お前のそんな様子を見て、わからねェ奴がいたら教えて欲しいくらいだ」
男は死んだ人のような目を昏葉に向けた。
「……」
「そんなに高杉のことが好きか?」
「……」
昏葉は何も答えない。ただ、黙って銀時を見つめるだけで……。
「……昏葉、お前には酷な事だと思うが……」
銀時は悲しそうな目をした。
「あいつは……昔のあいつとは……もう随分変わっちまったよ」
「……」
(そんなこと……)
ーそんなこと……言われなくても知ってる……。ーーわかってる。ーー頭の中では理解している。だけど……。
「……わかってるよ……」
「昏葉……」
「そんなことわかってるよ!」
昏葉は泣きながら叫んだ。
「そんなこと……わかってる……。あいつが……変わってしまったことなんて……噂でたくさん聞いた。いろんな人からたくさん言われた……。たくさん、たくさん……」
彼女の頬を涙がつたった。
「でもね、晋助があんなことをしているのは……ただ単に、先生がいなくなったこの世界を壊したいって理由じゃないの。本当は……」
昏葉は目の前にいる男を涙で濡れた瞳で見つめた。
(あんたのためなんだよ……銀時)