第4章 何よりも自分の命を大切にしろ 〜紅の花が咲く時〜
「……それとこれと何の関係があるんですかィ?」
「……まァ、誓いみたいなもんかな」
ーあの時に自分が勝手に誓った約束。
「あいつが闘う時はどんなことであれ、最後まで見守るってな」
ーそんなことをあいつは知りもしないが……。
「だから、ここまで来た。それだけだ」
「ふーん」
沖田は意味深に隣の男を見上げた。
「……旦那にも、そんな女がいたんですね。少しびっくりでさァ」
「なんだと? 別にそういう意味じゃ……」
「はいはい」
銀時は隣の青年を軽く睨んだ。
そんな間にも、昏葉と土方は勝負を始めようとしている。
「……旦那、ちなみに聞きますが……」
「ん?」
昏葉を見つめたまま、銀時は沖田に返事を返した。
「旦那はどっちが勝つと思いますかィ?」
「……」
真剣を土方に向けて構えている女を見て、銀時は少し微笑みながら言った。
「よく覚えとけ、総一郎君。ーーあいつは強い」
ーー銀時の脳裏をよぎったのは、戦場で天人たちを次々と斬り倒して行く昏葉の姿。凛とした姿は誰よりも勇ましく、誰よりも強く見えた。ーーまるで、戦場に咲く一輪の花のように。
「あいつを女だと思って、見くびってもらっちゃ困る。昏葉は自分が女だということを真正面から受け止めて、そのことを糧にして誰よりも努力して……強くなった」
銀時は口端を上げて笑っていた。