第23章 親子ってのは嫌なとこばかり似るものだ 〜攘夷戦争の爪痕〜
近くにあった酒が呑める出店の椅子に3人並んで座る。銀時は頼んだ団子を口に運んで食べている。
「……銀時……それと、姉ちゃん……じじいと晩酌に付き合ってくれてありがとな」
「そんなの気にするな。あのカラクリもいっつも険しい顔したじじいといるよりは楽しいだろうしよ」
「ちょっと銀時……」
せっかく奢ってもらっているのに、いらないことを言い出した銀時の発言を昏葉は止めようとした。
「ヘッ……息子と同じようなこと言いおる」
「息子? あんた、そんなのいたの?」
銀時は酒を手に持ちながら、目だけを隣にいる源外を見た。昏葉も銀時の隣から、少し離れたところにいる源外を見つめる。
「もう死んじまったがな。勝手に戦に出て死んじまったよ。俺に劣らず、カラクリ好きでよ。一緒んなって機械いじり回すクソガキだった。今にして思えば、あの頃が一番楽しかったかもしれねェな。昔はただ好きだからカラクリいじくり回してたが、江戸一番の発明家だとか言われ出してから……カラクリは俺にとって、何かを得る手段に成り下がっちまったい」
昔のことを思い出しながら、源外はおちょこを机の上に置いた。
「息子の野郎はそんな俺に反発して出てっちまったよ。それっきりだ。あ、そういや、お登勢から聞いたがテメェも戦出てんだってな」