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短編集《 イロイロ 》

第1章 カワイイあの子にありったけの愛を/及川徹


「は?青葉城西受けたの?」
「うん!ていうかもう合格してるよ」
「ええっ?!」



今俺の部屋に遊びに来てるは、昔からの知り合いである。
親同士が仲良くて、小さい時からよく遊びに来ていた。
そんなは2つ下だ。
こういうのも幼馴染というのだろうか。
だけど実際のところ、住んでいるところは全然違うし会うのも一ヶ月に一回か下手すりゃ一ヶ月も会わない。



「大丈夫なの?」
「なにが?」
「通学とか頭とか」
「そんなに遠くないし、私だってやれば出来るんだから!いつまでもお子様扱いしないでよねっ」



だけど仲は結構良いと思ってるし、連絡もしょっちゅう取るから気まずさなんて無い。
むしろ俺はこの明るくてほっとけなくて可愛いところが好きなくらいだ。



「なにで通学すんの?」
「え、電車かな」
「…気をつけなよ」
「なにが?」
「ち…ちっちゃいからさ、踏まれたりして…」
「もう徹くんうるさいっ!!」
「あっ」



なのに、なんでこうなっちゃうんだろう。

"好きな子ほどいじめたくなる"

初めは そんな訳ないじゃん。好きだったら可愛がるに決まってるでしょ。って思ってたのに、今じゃ全くその通りだ。
その度にが少し傷ついた顔をしているのに、なんで俺はやめられないんだろう。
学習出来ないなぁ…。




「及川の知り合いはしっかりしてるな」
「ありがとうございますっ!」



それから本当に青葉城西に通うは、バレー部のマネージャーをしていた。
俺は相変わらずの態度で、心無しか若干避けられてるような気もする。



「花巻さんってすっごく優しい」
「は?!」
「面白いしカッコいいし、とっても良い人」
「はぁぁっ?!」



だからって何もマッキーを選ばなくたって良いじゃないか。
絶対俺の方が良い男だし。



「マッキーはやめときなって。あれで結構、下心満載だよ?危ない男なんだよ?前に女の子は綺麗な子が良いって言ってたし。その面俺はお前、の…」



ヤバい。ヤバいヤバいヤバい。
これは余りにも言いすぎた。

の方を見ると、目に涙いっぱい浮かべてプルプルと震えていた。
これはどう考えても俺が悪い。
というか、俺が悪い時しかない。
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