第1章 生き残り
「お前、新選組に入らないか?あんたならいい間者になれる。」
「え?ど、どういうことですか?私が?」
「あぁあんたは女だがそれを利用できるだろう。それにいくら気配を消していたとはいえ、斎藤が気づかない程のやつだ。」
「私は、そんなに評価される程の者ではないので、それに刀は身に付けていますが使った事はありません。」
護身用の家に伝わる刀。確か東国の雪村家?とかいう家に伝わる太刀とまるでそっくりな対になる刀だとか。だけど、誰にも稽古を付けられていないから、どのような刃を持つのかすらもわからない。
「抜いたことは?」
「ありません。大事な刀なので。」
「ますます気に入った。来ないか、新選組に。」
「ですが、私は!あなた達のように守るものがないんです。守るべき家族だって私にはいないんです。」