第1章 生き残り
ここはなぜかはわからないけど、心があたたまる。
きっとみんなが暖かいんだろう。私は今まで一人だったから、周りの人がもたらす暖かさとかわからないけど。
ガサッ
マズイ。気を抜いたせいで木に体が…。どうしよ。
「誰だ!」
「あ、あの、その、悪気はなくて。」
「お前は、どこの誰だ。」
「私は、その、京に古くから住む一族の末裔で…。」
「どこからついてきていた?」
「あの、そちらの女の人が人をかばっていたところからです。私、気配を消すのが得意で。」
鬼という事はまだ言わない方が良いだろう。私はそう察知した。
「お前、どこの藩の間者だ?」
「私は藩になんて入れません。女ですし、それに弱いから。」
誰かに守られていないと私達鬼は生きていけない。母や父が身を持って教えてくれた。