第1章 生き残り
あの人たちは一体なんで。近づいたら何かわかるかな。あとをつけてみよう。
「私の男装ってそんなにわかりやすいですか?」
「見る者が見ればわかる。」
あの羽織を着ている方はただの人間だ。なぜ鬼と人が一緒に?
そうして気配を消しながらついていくと何やらお寺についた。ここは西本願寺。場所だけなら私も知っている。何でも最近、僧侶が追い出されたとか話を聞く。でも、私には全く意味のわからないことだ。
「斎藤、帰ったか。ん?どうした。後ろばかり気にして。」
「いえ、大したことではないのですが、先程から誰かの気配を感じて。」
「私ではないのですか?私はずっと斎藤さんの後ろを歩いてましたから。」
「そう言われると、心なしか、そんな気がする。」
「きっと斎藤さんも知らない間に疲れがたまっているのでしょう。」
危なかった。気づかれたかと思ったでも、そんな簡単に気づかれる訳がない。私は気配を消していろんなことをしてきた。気づくはずない。