第12章 手料理
はぁぁ…と深い溜め息を吐く。
「どんなところが好きなん?」
「…いつも一生懸命なところと、笑顔が好き…。
って恥ずいわぁ」
熱の籠った顔を手で隠す。
「照れんでええって」
「なんで気づいたん?
隠せてるつもりやったんやけど」
「んー、やっぱ長く一緒に居るからとちゃうかな」
「そっかぁ…」
「でも花音ちゃん可愛ええよな」
「渋やんも多分惚れてるもんな」
「おん、それは分かるわ。
すばるくん態度に出やすいからなぁ」
「まぁ、僕は想ってるだけでも幸せやし。
花音ちゃんが幸せならそれでもええもん」
花音ちゃんが好きなのは渋やんやからね。
「健気やねぇ、ヤス。
ピュアな女の子みたいやわ」
「なんやねん、女の子って」
「可愛ええなぁ、ヤスは」
「可愛くないわ」
「ははっ、男やから可愛いは嬉しくないか。
あ、ええ匂いして来たで」
「せやなぁ、お腹空いて来たぁ」
ちゃっかり話を逸らした大倉。