第7章 挽回
「ドラムはメロディーやなくて、リズムを刻むだけ。
ミスったりど忘れしても、基本のリズムさえ出来れば問題ないんやから。
極端なこと言うんなら、基礎をずっと叩いとってもバレへんってこと」
「そうなんですか…」
知らなかったなぁ…。
「だから、俺やって普通にミスする。
俺の場合は分かりづらいから、ミスしてへんように見えるだけやで」
「そうだったんですね。
ごめんなさい、変なこと聞いて…」
「気にしなくてええって!
花音ちゃんって、表情がコロコロ変わって面白いなぁ」
と、またケラケラ笑う大倉さん。
「でも、大倉さんってミス少ないのは本当ですよね?
いつも早く来て練習してますし」
ここだけは、どうしても譲れない。
「んー、まぁ。
ミスするのって、誰だって気持ち良くないやん?
それに、ドラムってこう言うとこやないと練習出来ひんし」
「それもそうですね」